重版&続刊記念!! みお先生&山本ゆり先生合同コラボ記念SS 第2弾!『風邪ひき、アイボリーリゾット』

ルーロー飯*半熟卵のせ レシピ ショートストーリー
Twitterのフォロワー110万人を超える人気の料理コラムリスト、山本ゆり先生のブログ「含み笑いのカフェごはん 『syunkon』」との夢のコラボです。

【含み笑いのカフェごはん『syunkon』】

山本ゆり先生の日常や簡単レシピがたくさん紹介されているこのブログの中から、「ルーロー飯」を使ったショー トストーリーを大公開!

みお先生の異国の風を感じる温かくて美味しいショートストーリーをお楽しみください。

ことのは文庫

極彩色の食卓

レシピ

ルーロー飯*半熟卵のせ

材料(1~2人分)
※具がちょっとあまるかも。おかわりするか、冷凍するか、具まみれにするか。
豚バラ塊肉……200gぐらい
玉ねぎ……1/2個
片栗粉……適量。小さじ2ぐらい

砂糖……大さじ2ぐらい
酒……大さじ2ぐらい
チューブのおろししょうが……びゅーっと1~2cm
しょうゆ……大さじ1と1/2ぐらい
オイスターソース……大さじ1ぐらい
水……1カップぐらい

あれば山椒……少々。好みで

半熟卵……2個
ごはん……丼軽く2杯分ぐらい
ルーロー飯*半熟卵のせ
作り方
玉ねぎは薄切りにして片栗粉をまぶす。
フライパンにサラダ油を大さじ3ぐらいいれ、中火で両面こんがり揚げ焼きにして取り出す。
もはや揚げてなくて炒めてるぐらいの状態ですが大丈夫です。
どうせ煮込むんで。
豚バラ肉は1cm角に切る。
フライパンをふいて豚バラ肉を炒める。
余分な大量の脂をペーパータオル2~3枚使ってふきとりながら(ある程度でストップでいいです。多少はあったほうがおいしいし、最後までいくとほとんどお肉が消えるんで)、こんがりするまで炒める。
を上から順に加える。 (砂糖と酒をいれてから1~2分絡め、そのあと残りを)蓋をずらして乗せ、弱~中火で30分ほど煮込む。途中、水分がなくなったら焦げ付く前に水を足して下さい。
揚げ玉ねぎを加え、蓋をとってとろみがつくまで5分ほど混ぜながら煮込み、山椒を加える。
火を止め、殻を剥いた卵を加え、フライパンを斜めにして端っこで転がしながら色をつける。
器にごはんを持ってのせる。
★半熟卵の作り方
沸騰したお湯に、卵をお玉などでそっといれ、6~7分煮て氷水にとる。
(取り出して全体にヒビをいれ、水につけておくとむきやすいです。結果失敗してるんで説得力ゼロですが)

SS

『風邪ひき、アイボリーリゾット』『風邪ひき、アイボリーリゾット』

 気がつけば燕は一人、雨の中に立っていた。
 手にする黒い傘はずしりと重い。周囲の人々は燕など目にも入っていないような顔で通り過ぎていく。
 聞こえるのは馴染みのない、跳ねるような言語と雨の音。
 それを聞いて燕は、
(夢だ)
 と確信した。
 燕は時々、知らない国へ迷い込む夢を見る。

(今日は……どこだ。ここは、アジアの、どこか)
 燕の立つ道の左右に、屋台が軒を連ねていた。看板に書かれているのは漢字の羅列だ。
 空は日本で見るよりもう少し黒い。それは大地が明るすぎるせいだ。
 どの屋台にも電飾が華やかに輝いていた。そんな屋台の店頭には様々な料理が並んでいる。肉、野菜、魚……しかしそれは輪郭がぼやけて見えた。
(これは、繋ぎ合わせた記憶だからだ)
 燕は手にする傘を強く握りしめる。
 燕は旅行の経験が少ない。だから今、目の前に広がる風景は、燕が雑誌やテレビなどで見た風景の継ぎ接ぎである。
 記憶のない箇所は黒く塗りつぶされ、先も見えない。
(この傘と雨音がリアルなのは)
 手にした傘は、父が愛用していた重い傘だった。
 その雨の音と傘の色だけが、この中で唯一のリアルだ。
 
「ねえ」

 早く夢から覚めたいと、祈るように俯いた燕の耳に聞き覚えのある声が響く。
「雪みたいなかき氷。ふわふわして、真っ白ですごくきれい」
 それは踊るような、跳ねるような。
「氷の上からたっぷりかけてる、あのオレンジ色はなあに? すごいわ、あそこだけ夕日の色みたい」
 ……柔らかで、温かい。
「ねえ、燕くん」
「どうしてここに」
 燕は思わず傘を地面に落としていた。地面に跳ねた傘は、あっけなく消え失せる。
 気がつけば雨はなく、空気は乾き、肌に触れる風は蒸し暑い。
「律子さん」
 ……そして眼の前に、律子がいた。
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あとがき

ありがたいことに、極彩色の食卓、台湾版が発刊となりました。
燕くんと律子さんがもし台湾に旅行に行ったらどうなるかな…?
律子さんはあちこち行きたがるし、ああ見えて結構足が速いので、燕くんは観光というより律子さん追いかけ回して苦労しそうです。
でも熱々できたての夜市のご飯とか、冷たくて甘い飲み物とか、全身全霊で旅行を楽しんで欲しいなあと思うのです。そしてもちろん、台湾の色鮮やかな色彩も楽しんでもらいたいです。
……などなど、想像したらとても楽しく、そしてこんなお話になりました。

そして台湾飯といえば魯肉飯。魯肉飯大好きです。
今回もまた山本ゆり先生のレシピを書かせていただきました。いつも素敵なレシピをありがとうございます。
多めの油で炒めた玉ねぎを入れると、お肉がトロっと、ご飯泥棒待ったなし。スパイスなしで気軽に作れる上、味もかなり本格的でした。
気軽に台湾気分を味わえるのでおすすめです!

みお

香川生まれの大阪育ち。同人、商業と作品を発表しているライター兼業の文筆家。料理専門誌ライターの経験を活かし、本作を執筆。日頃から様々な事象を文章化するのが好きで、本作の文章にもその経験が遺憾なく発揮されている。

山本ゆり

大阪生まれ。レシピ本、エッセイ集など料理に関する数多くの著書がある人気の料理コラムニスト。気まぐれに更新されるブログ「含み笑いのカフェご飯『syunkon』」では自身の日常や簡単レシピを公開している。

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表紙

極彩色的餐桌
(極彩色の食卓【台湾版】)

表紙

極彩色の食卓

  • 著:みお
  • 装画:丹地陽子
  • 発売日:2019年6月22日
  • 価格:770円(本体700円+税10%)
表紙

極彩色の食卓
カルテットキッチン

  • 著:みお
  • 装画:丹地陽子
  • 発売日:2020年5月20日
  • 価格:770円(本体700円+税10%)