住んでいた賃貸マンションで火事があり、
急遽引っ越すことになった頑張り屋の社会人・ゆり子が紹介されたのは、
「築35年・動物入居可能」の物件だった。
階下に住むのは、胸の三日月模様が印象的な、人(?)の好いツキノワグマ。
誰かとコーヒーを飲むのが大好きで、はちみつケーキが大好きで、
ヒグマさんのビールが大好きで、お鍋が大好きで、
冬眠の前にはクリスマス・お正月・バレンタインの贈り物などを
一通り済ませてから眠りにつく。
そんなのんびりとしたクマと日々を過ごすうち、
ゆり子の少し疲れた心は優しくほぐされていく。
そして彼女はいつしか、ずっと背を向けていた母と向き合ってみようと
自然と思えるようになり──。
中澤ゆり子
Yuriko Nakazawa
火事がきっかけで、ツキノワグマと同じマンションに越してきた人間の女性。
おいしいごはんが大好き。現在はアパレルの会社で働いている。
大学生の時にお洒落に目覚め、アパレル業界を目指したのだが、その裏ではちょっと悲しいできごとも。
しかしツキノワグマとの出会いで、その悲しみも知らぬ間に癒されていったようで……。
ツキノワグマ
Asiatic black bear
ゆり子の引っ越したマンションの階下に住むご近所さん。
ちょっとドジっ子なところもあるけれど、とても優しくていつもにこにこしている。
実はウインクができない(ことを本人(?)は自覚していない)。
誰かと一緒に家でコーヒーを飲むのが昔からのひそかな夢だった。
遠くに住むおばあちゃんを大切に思っていて、よく手紙を出している。
ゆり子さんが引っ越すきっかけとなった「火事」。
これが起きた原因とは──!?
とあるぽかぽか陽気の心地よい日に突如勃発した
【大学生のカワウソ VS 彼の釣り上げた鰹】の
衝撃的な激闘の一部始終を、どうぞご覧ください!
『火事の真相と七輪と』
人間と動物が共存する絵本のような世界観のお話。
ひとつひとつのエピソードも程よい長さで多くの読者に愛されそう。
クマさんと美味しいものを食べて、時には一緒におでかけするのんびりとした日々の物語ですが、どのエピソードからもゆり子の幸せな顔が想像できて、読んでいる私も微笑ましくなりました。
ゆり子とクマさんの日常、もっと見てみたい!
レビュアー
言葉を話す動物たちと人間が当たり前のように共存する本作。
個性的な登場人物(動物)たちとおいしそうな食べ物、
そして底抜けに明るく優しいクマの存在。
ゆり子の視点を通し、今を生きる読者の私たちも癒されていきます。
日常生活に疲れているあなたに是非読んでほしい。
ゆるりとふわりとした世界で流れる穏やかで優しいストーリーの数々、全力でおすすめします。
レビュアー
クマや三毛猫、キツネ、いろんな動物たちと人が住んでいることが当たり前で普通の日常。
ゆり子さんはツキノワグマとすぐに仲良くなって毎日が楽しそう。
二人とも食べることが大好きだから食事の風景は美味しそうで温かくて読んでいて幸せな気分になりました。
クマのいる日々に馴染んでしまって冬眠するときのゆり子さんの寂しさに共感して、あぁ早く春にならないかな、と心待ちになりました。
三毛猫とキツネとゆり子さんの女子会みたいな会合が楽しそうでいいな、と思いました。
クマのおばあちゃんもきっとゆり子さんを気に入りそうですね。
特別なことは何もなくてもクマと過ごす毎日は宝物だな、と思います。
書店関係者
- 著:鞠目
- 装画:水川雅也
- 発売日:2024年5月20日
- 価格:792円(本体720円+税10%)
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