ある日どこかで箸休め 3分で読める35話のアラカルト

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あらすじ あらすじ

読んで、きゅんとして、お腹が鳴る。ここまでの時間、約3分。

大学生同士のカップル未満が初めて一緒に食べた朝ごはん。偶然会った高校の同級生と食べる深夜のラーメン。風邪の時に同僚が作ってくれた鍋焼きうどん。料理が嫌いな上司に食べさせたくて母に教わる煮物の作り方。なかなか減らない冷蔵庫の常備菜を(他人を巻き込んで)上手に使い切る秘策。おにぎりが苦手になった理由ともう一度食べられるようになった理由。クリスマスパーティーで知るとり天の味と気になる人の意外な一面。お互いが買ってきたパン飲み物を交換して食べる昼休み。弟お手製の夏カレーで思い出す、懐かしくておかしな過去。が救ってくれた誰かの世界。

――かつて味わったことがあったかもしれない、もしかしたらこれから味わうかもしれない、
そんな素敵な「食」にまつわる35の風景。

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本編収録のエピソードから4つをピックアップ!

『おにぎりの話』

おにぎりが食べられない会社員の私。ある日、天気が良かったので外のベンチでパンを食べていると、同僚の吉田に声をかけられた。
「おにぎり嫌いって、珍しくない?」
「嫌いっていうか……苦手っていうか……」
そうして、おにぎりを避けるようになった訳を訥々と語りだす私と吉田に、とある小さな奇跡が訪れる。

『八月のしるこ同盟』

高校三年生の夏。その日も猛暑だった。受験生のわたしが塾の帰り道、寂れた駅にたった一つだけある自動販売機で冷たい麦茶を買おうとしたら、なぜか取り出し口に落ちてきたのは「あたたか~い『甘~いしるこ』」だった。
なぜ。どうしてこんなことに。呆然とするわたしの背後から、同じ予備校に通う同級生の生徒会長が現れる。そして彼の手にも「しるこ」の缶が……!?

『あいびき』

夕飯にハンバーグを作ろう。それもいつものスーパーじゃなくて、駅前のちょっとお高いスーパーで材料を買っちゃおうかな。そんな感じで張り切って買い物に出かけた私が目撃したもの。それは会社に行っているはずの夫と、若い女性が連れ立っている姿だった。
向こうは私に気づいていない。私はとっさに近くにあった特大サイズの醤油を掲げて顔を隠しつつ、二人を尾行するのだが……。

『鰻に会いに』

先週から立て続けに小さな嫌なことが続いて気が滅入った私は、自分の気持ちを盛り上げるべく、大正時代から続く「鰻」の名店に予約を入れる。今週どれだけ嫌なことがあっても、週末には鰻が食べられる。そう思えば乗り切れる。そして当日、予約先に向かう私の前に、あまりにも予想外のできごとが起こる――。

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書き下ろしSS 書き下ろしSS

楽しみにしていたお昼の弁当を、
うっかり駄目にしてしまった女子高生の小春。
そこに通りかかった男子生徒がくれた「手作りカツサンド」。
これがあまりにもおいしかった……!

「もう一度そのカツサンドを味わうこと」をあきらめきれない小春は、
ある作戦を考えるのだが……!?

『ある日どこかで箸休め』番外編
「カツサンドのシンデレラ」
スタートです!

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レビュー レビュー

35話の粒よりなお話の数々。まさしくお話のアラカルトでした。
豆皿で一品一品楽しんだような満足感。短いお話だけど、どれもが前菜といわずメインディッシュです。口福だなぁ。
お料理は贅沢なものじゃなくて日常の毎日食べたいようなものばかり。それでも満たされた気持ちになれるのは、やっぱりあなたと食べるから。それが特別で幸せ。
幸せなお料理の湯気立つ匂いがただよってきそうな満腹気分になれるほっこり温かいお話たちでした。

書店関係者

3分で読める35話の短編集。
なんて贅沢な3分が味わえる短編集なんでしょう。お腹も心も満たされて、キュンとしたり切なくなったり、かつて嗅いだことのある匂いや舌の記憶が呼び起こされてそしてお腹が空きました。

ことのは文庫さんでは珍しい短編集ですが、どのお話を読んでも優しく心に残るお話に満たされました。1話で完結していますが、気になったお話の続編が途中で出てくるもの嬉しいです。短編集なのでちょっとした隙間時間に読めるのもいいですね。でもお腹が空くので空腹の時に読むのは危険です。
きっと自分の記憶に結びつくお話に出会えるでしょう。
大切な人と食べるものは何でも美味しいですよね。美味しそうに食べてくれる人との食事は、見ているだけでも幸せな気持ちになりますよね。
目玉焼きにかけるのは醤油かソースか、そんな好みが同じだとわかったときちょっと嬉しくなりませんか?
ちょっとした幸せの味の詰め合わせをぜひ味わってほしいです。

レビュアー

食べ物を通して繋がる人がいて、食べ物が発展させてくれる新たな関係がある。
そんないくつもの物語が、お手軽にさくっと読めてしまう一冊。
それぞれの短いお話の中に、トキメキ、優しさ、ほろりがぎゅうっと詰まっていて、お腹と心が満腹になりました。
笑いあり、涙ありで、こんなにたくさんの物語を一気に味わうことができて、大満足!
私はとくに、「家族集合」が心に残りました。
とても読みやすいので、読書が苦手な人にもオススメできます!
読んでいるとどうしてもお腹空いてしまうので、要注意です!笑
素敵な作品をありがとうございました!

レビュアー

ご飯の数だけ人生がある。 そんなご飯にまつわるいろんな人のほっこりエピソードが詰まった作品。
ご飯に関する記憶って、何故か時間が経っても印象に強く残ってるものだと思います。誰と食べたご飯だとか、どんな気持ちだったなとか……。この作品は、大きな出来事でなくても、物語の当人たちにとって記憶に残るであろうエピソードを少しだけ分けてくれる、そんなお話です。

本来なら、「素敵な作品をありがとうございました」というところですが、この作品にはこの言葉が合うと思いますので……。
ごちそうさまでした!

レビュアー

ある日どこかで箸休め 3分で読める35話のアラカルト

表紙
  • 著:村田天
  • 装画:双森文
  • 発売日:2025年3月21日
  • 価格:792円(本体720円+税10%)

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