重版&続刊記念!! みお先生&山本ゆり先生合同コラボ記念SS 『夏のおわり秋のはじまり、まどろみ炊飯器の色重ね』

炊飯器で!とろとろ手羽先 レシピ ショートストーリー
Twitterのフォロワー53万人を超える人気の料理コラムリスト、山本ゆり先生のブログ「含み笑いのカフェごはん 『syunkon』」との夢のコラボです。

【含み笑いのカフェごはん『syunkon』】

山本ゆり先生の日常や簡単レシピがたくさん紹介されているこのブログの中から、「とろとろ手羽先」を使ったショー トストーリーを大公開!

みお先生がノリにノッた6000文字オーバーの「ショート?」なストーリーを、お楽しみください!

ことのは文庫

極彩色の食卓

レシピ

炊飯器で!とろとろ手羽先

材料(作りやすい量)
手羽先…8本
好みでにんにく…1片
:砂糖、みりん、酢…各大さじ2
:醤油、酒…各大さじ3
:水…1カップ(200ml)
好みで半熟卵…適量
炊飯器で!とろとろ手羽先
作り方
炊飯器の内釜に手羽先、半分に切ったにんにく、を入れ、アルミホイルで落とし蓋をして炊く。
炊けたら保温を切り、好みで半熟卵を加える。
★アルミホイルで落とし蓋をすることで、ボコボコタレが跳ねて炊飯器の内蓋がヌルヌルになるのを防げます。
★手羽元でもOK!

山本ゆり先生コメント

まさかこんな素敵なお話にして頂けるなんて。
海の青、波と塩の白、醤油の茶色と卵の黄色・・・夏から秋の変化が色から伝わる秀逸さ。律子さんの無邪気な「魔法みたい」が嬉しく、お口にあってよかった・・・とホッとするぐらい入り込んでいました。
疲れていても作れ、眠ってる間に完成するというのが物語を通して伝わって感激です。またこのレシピの欠点である炊飯器の香りをそのまま使ってご飯というアイデア! 本当にありがとうございました!

SS

『夏のおわり秋のはじまり、まどろみ炊飯器の色重ね』『夏のおわり秋のはじまり、まどろみ炊飯器の色重ね』

 律子には秘密が多い。

(……またか)

かすかな物音を耳にして、燕はソファーの上で目を開く。
ダイニングに置かれた、赤革張りのソファー。その上で猫のように丸まったまま、燕はじっと気配を探る。
周囲はまだ青い。鼻の先がほんの少しだけ冷たい、そんな秋を感じる朝だ。
その中に、律子の小さな背が見えた。
珍しくも彼女はキッチンに立ち、周囲を気にするように首を動かしている……燕の動向を気にしているのだろう。
昨夜、うっかりとソファーで寝落ちてしまった燕はそのまま寝たふりを続行する。
わざと寝返りをうつと、律子の動きがピタリと止まる。やはり、燕を気にしているのだ。
やがて律子はキッチンから何かを取ると、抜き足差し足で玄関に向かう。筆を地面に落としながらなので、随分と賑やかな秘密もあったものだ。
彼女が玄関を出てゆっくりと鍵が閉まる。その音を聞いて、燕もそっとソファーから滑り降りた。

(今日で三回目。必ず朝だ。そして昼前には戻る)
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あとがき

重版、続刊。「重ね」「重ね」の思いを込めて、色を重ねる、調味料と具を重ねる季節を重ねる…という重ねの多いSSとなりました。
今回、作中で燕くんが作っていた炊飯器煮込み手羽先ですが、このレシピは重版帯でメッセージを頂いた、料理コラムニストの山本ゆりさんのレシピ『炊飯器でとろとろ!手羽の甘辛煮』が元ネタです。

実はこのお料理、山本ゆりさんにブログで極彩色の食卓を紹介頂いた際、掲載されていたものなのです。(https://ameblo.jp/syunkon/entry-12493146576.html
山本ゆりさんのレシピはどれも簡単かつ、材料も家にあるもので作れるものが多く、さらに彩りもキレイなので燕くんにピッタリだなあと勝手に考えており、お話と絡めることができて大満足です。

自分でも作りましたが、本気で昼寝してる間にできるレベルのお手軽さでした!

みお

香川生まれの大阪育ち。同人、商業と作品を発表しているライター兼業の文筆家。料理専門誌ライターの経験を活かし、本作を執筆。日頃から様々な事象を文章化するのが好きで、本作の文章にもその経験が遺憾なく発揮されている。

山本ゆり

大阪生まれ。レシピ本、エッセイ集など料理に関する数多くの著書がある人気の料理コラムニスト。気まぐれに更新されるブログ「含み笑いのカフェご飯『syunkon』」では自身の日常や簡単レシピを公開している。

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表紙

極彩色の食卓

  • 著:みお
  • 装画:丹地陽子
  • 発売日:2019年6月22日
  • 価格:770円(本体700円+税10%)