さびれた商店街の一角にある総菜屋「ふじの」の店主・恵麻は、
亡き祖母の味を守るため、赤字続きでも細々と営業を続けていた。
ある日、店の前で倒れているもふもふな生き物を発見する。
その生き物は、自分はこの町の神様だと言う。
たぬきの神様・きぬ様は、町の住人からのお供え物もなく
毎日お腹を空かせていた。
やたら食い意地の張った神様を介抱すると、
きぬ様は「お礼に店を繁盛させてやる」と言い、
繁盛の“匂い”を探り始める──。
お客さまのピークが過ぎた、午後三時。
総菜屋「ふじの」の店主である私、藤野恵麻は、
ほっと一息をつきながら体を伸ばした。
扉を開けて、店の外に顔を出してみる。
いまは八月の上旬。湿度の高い風がじわりと汗を誘う。
「よく晴れてるなぁ……」
年季の入った昔ながらの総菜屋。
アジフライやポテトサラダ、出汁巻き卵など人気商品は数知れず、最近は洋風のおかずも週替わりで出し始めている。
高級そうな雰囲気を醸し出す洋菓子店。
店名はフランス語で、「夢の庭」という意味。
町のシンボルであるエディブル・フラワーを使用したケーキや焼き菓子を販売している。
商店街の入口付近に店を構える和菓子屋。
町のシンボルであるエディブル・フラワーを模した練り切りを販売している。
「日本茶専門店」としての長い歴史があるお店。
町のシンボルであるエディブル・フラワーを乾燥させたお茶を販売している。
商店街でお買い物を楽しんだあとは、ちょっと一休み。
様々なお店で購入した食べ物を味わえる場所。
美味しいご飯と恵麻の前向きな気持ち、ちょっぴりわがままだけど憎めないきぬ様。
そして祖母との優しい思い出。たくさんの温かさが溢れるお話に、読んでいる私の心もじんわり温かくなりました。
一人では出来ないことも、誰かと支え合えば頑張れる！ 元気をもらえた一冊です。
この先の恵麻ときぬ様のお話もまた読めたら嬉しいなと思っています。
書店関係者
両親には恵まれなくても優しい祖母に育てられた恵麻を、
野の花商店街の人たちやお総菜を楽しみにしてくれる人たちが見守ってくれます。
この町には優しい人しかいないのかなと思うほど嫌な人が出てこないところも好きです。
また新しい試みをしようとする恵麻と、繁盛の匂いを探すきぬ様のコンビもいいですね。
きっとこのコンビなら優しい野の花商店街の人たちとともに町おこしできそうな明るさを感じる物語でした。
レビュアー
人と人との優しい縁を感じる、にぎやかで可愛いお話でした。
恵麻が作るおいしい料理を食べながら今の世の中に馴染もうとする、
きぬ様の憎めないキャラクターも魅力的で、何度もぽかぽかと癒されました。
レビュアー
