カナシミ水族館 心が泣き止む贈り物

ストーリー

過去に夢を罵倒され、友人に裏切られた事で、これ以上悲しまないよう他人を避けて生きていた高校生の
ある夏の日、クラスメイトのあかりが手を差し伸べてくれたにも拘わらず、拒絶してしまう。

人との接し方を見失い困惑していた夜、気が付くとは謎の水槽の前に立っていた。
そこは「自分の悲しみが魚になる」という、不思議な水族館。
四人のスタッフに案内されながら出会う生き物たちは、優雅に泳ぎ、
時折あたたかな光を放つ——。

あなたの美しい悲しみに触れられる幻想的な場所「カナシミ水族館」へようこそ。
心の中の自分と真っ直ぐ向き合う、友情のやさしい物語。

ストーリー

平井 律 ひらい りつ

高校二年生。過去に友人から裏切られたり、傷ついたことが原因で、人間関係に悩み悲しみの感情に呑まれてしまう。 喜怒哀楽の「哀」などなくなればいいと思ったある夜、カナシミ水族館という不思議な空間に来ていた。

かなしみ水族館のスタッフ

須和 月人 すわ つきひと

カナシミ水族館『悲哀の間』のスタッフ。
すらっと背が高く、穏やかな青年。『悲哀の間』のみならず館内全体を指揮している。
悲しみと真正面に向き合ってくれる存在。

入瀬 タクト いりせ たくと

カナシミ水族館『魚群の間』のスタッフ。
少しシャイな少年。イワシのパフォーマンスを披露する。
悲しみに背中を押してくれる存在。

沢渡 つつみ さわたり つつみ

カナシミ水族館『飛沫の間』のスタッフ。
おっちょこちょいで緊張しがちな女性。イルカのショーを披露する。
悲しみとともに在ろうとする存在。

汀 定利 みぎわ さだとし

カナシミ水族館『幻影の間』のスタッフ。
優しい老紳士。クラゲの水槽を管理している。
悲しみとは何か教えてくれる存在。

ショートストーリー

名前も知らない魚が、青い水の中を悠々と泳いでいる。
しばらくの間、僕は立ち止まってそれを眺めていた。
向こうの世界は時の流れが緩やかなように感じる。ただ推進力に身を任せて進む穏やかな動きは、見ていて不思議と心が落ち着いた。青の奥行き、鱗の輝き、尾ビレの揺らぎ。照明や音響の具合も絶妙で、幻想的な水の世界に没入させられる。いくらでも眺めていられそうだ。

レビュー

『NetGalley』に寄せられたレビューの一部

今まで向き合うことをしてこなかった悲しみを、水族館を通して見ていき少しずつ受け入れて昇華していく展開が良かった。
悲しみの気持ちで出来ている水族館が美しいのは「それだけ大事に思っていた証拠」だからだと思うととても温かい場所だなあと感じました。
大事にしたい誰かをたった一度だけその場所に導けるチケットが繋いできた思いを想像するのもまた素敵だと思います。
レビュアー

心が傷つき不安や悲しみでいっぱいになった時、水族館へのチケットは持っていなくても、心の中に棲む青く輝く美しい魚たちと共に強く歩んでいきたい。
『悲しみとは、誰かを大事にするためにある』
大切な人と自分を大事にする為に、悲しみと向き合いながらも立ち上がり前向く力をもらいました。
書店関係者

たくさんの悲しみを経験し、乗り越えていくからこそ人は強くなれることを実感する良作。
日々経験する悲しい出来事や話題で苦しい気持ちになった時に思い出したい物語でした。
「悲しみ」で溢れる世の中だからこそ、今作のようなほのかに温かさを感じる物語が必要なんだと思います。
水族館の描写がとても幻想的で、読者も律と一緒に館内を散策し、心が浄化されていくような感覚を味わえました。
レビュアー

私にも、主人公と同じ側面があるので、同じように悲しみと向き合いました。
水族館で繰り広げられる、スタッフの見せる芸もとても美しく、魅せられました。
透明な碧色の世界に、自然と入りこみました。
年を重ねても、悲しみがあり、ズキズキと痛みます。
克服できたと思っても、ぶり返すこともある。
その度に、より純粋になり、強くなれる。
その人の持つ可能性を見せてもらいました。
とても美しく、大切なことがたくさん詰まったお話だと思います。
レビュアー

カナシミ水族館 心が泣き止む贈り物

表紙
  • 著:夕瀬ひすい
  • 装画:chooco
  • 発売日:2024年4月22日
  • 価格:781円(本体710円+税10%)

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