ことのは文庫

story

ここは東京・吉祥寺にある
シェア型書店〈本の庭〉
「棚主」と呼ばれる
「小さな書店の店主たち」
店内に思い思いの本を並べて売る、
この風変わりなお店には、
いつでも小さな「謎」が集まってくる。

青春時代に親友と交換した大切な本の記憶を取り戻したい老婦人。
製作者不明の同じZINEを買い続けるお客さんと棚主の攻防。
書き込みだらけの「読み跡本」に
込められた思い。
この書店のはじめの一冊として
「売り物ではない本」が置かれた理由――。

見逃してしまった誰かの「思い」が、時を超えて「謎」として目の前に現れたとき、
きっとこの書店の仲間は、
それを解く手助けをしてくれる。
書物と珈琲の香り漂う、
素敵で優しい
「小さな謎解き」の世界へようこそ。

story

  • シェア型書店〈本の庭〉の管理人兼店内併設の
    珈琲スタンドの店長。 棚主に憧れ、自分もなりたいと思っているが抽選に落ちたらしい。

  • 大学浪人生。読書には特に興味なし。
    〈本の庭〉の棚主である従兄から三日間だけ棚主代理をするアルバイトをもちかけられる。

  • 横浜から〈本の庭〉の近所に越してきた上品な老婦人。
    若い頃、離れ離れになった大切な友人に贈った
    ある本をずっと探していた。

  • 〈本の庭〉の棚主。少女小説が大好きで、彼女の棚には往年の少女小説の大ヒット作がずらりと並んでいる。
    「名作に世代なし」がモットー。

  • 〈本の庭〉でも最古参の、経験・知識共に豊富な棚主。
    大学院では英米文学を専攻、棚にもそれらを並べる彼女は
    最近海外ミステリーにハマっている。

  • 〈本の庭〉の棚主。
    クリエイターを支援するネットサービスの会社に勤めている。
    家が近く、週一ペースで時間があれば棚の整理に来ている。

  • 〈本の庭〉の棚主。背も高く髪も個性的な色なのに、
    なぜか普段は存在感が薄い。
    棚にはシェイクスピア関連書籍ばかりを並べている。

story

普段降りない「吉祥寺駅」で
電車を降りた加瀬。
どこかで昼食をとろうかと
歩いていくうちに、桜の木が庭にある一軒の店が見えてきた。
カフェだろうかと近づいてみると、
店の入口にはなにやら怪しげなものを作る男性がいて――。

これは、本編が始まるより、
少し前のある日の物語。
書き下ろし番外編
『本棚の向こうに』

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  • シェア型書店で出会う人、出会う本、出会う謎…本を通して繋がる関係って、なんて素敵なんだろう!
    心踊るような読書体験ができる一冊。
    そして、読後も書店に行きたい!本が読みたい!と、わくわく感が続きます。
    心温まる棚主たちとの交流だったり、読むたびに結末が変わる本?だったり、
    高木さんとお店の秘密?だったり、楽しいポイントだらけ!
    〈本の庭〉ノートが続いていく限り、物語も続いていく。いいなぁ、いいなぁという感想しが出てきません!
    まるっと一冊、ステキが詰まった作品でした!

    書店関係者

  • 吉祥寺の住宅街の商店街。その奥にあるシェア型本屋〈本の庭〉。
    本屋にやって来る人と棚主や書店管理人が、本にまつわる謎を本を読むペースで解いていく。

    ふだんから本を読む人のための本でしょ?と思うかもしれない。
    でも大丈夫。ふだん本は読まない人も、昔は読んでいたけど今は読めなくなってしまった人も、
    この本の中の本屋にぜひ行ってみてほしい。
    ひとりで本を読むことの意味、本で人とのつながりが生まれる不思議がきっと味わえるから。

    店内に差し込む陽射し、前の庭の桜の木、カフェスタンドの珈琲の香りが漂う中、
    自分も本を探すひとりの客になって、何やら話し込んでる人たちの話に耳を傾けているような気になってくる。

    本にはいろんな読み方や出会い方、関わり方があるんだな。
    自分のままでいられる落ち着ける場所の一つが本屋で、そんな場所を今は持っていなくても、
    この本の中にある〈本の庭〉は読んだ人の居場所になると思う。
    私はすでにまた本の中を覗きに行きたくなっているから。

    レビュアー

  • 最近「シェア型書店」が増えてきていますね。
    手書きのPOPが添えられていて、棚主さんの“この本が好き!”という気持ちが伝わってくる、
    とても心地よい空間で好きです。

    吉祥寺にある〈本の庭〉では、美味しい珈琲も味わえます。
    そこから始まる本にまつわる謎。
    本に込められた誰かの思い出や想いに触れるたび、少し切なくなったり、
    驚かされたりしながら謎が解き明かされていきます。

    〈本の庭〉は新しい好きを探すのに最適な場所。
    懐かしい本から新しい本まで、さまざまなタイトルが登場し、
    本の表紙が思い浮かび、〈本の庭〉を実際に訪れたような気持ちになりました。
    好きな本は布教したい、時間をあけて読むと感想が変わる、そんな気持ちにも共感します。

    この本に実際に感想を書き込んで、時間をあけて再読するのも楽しそうです。
    誰かの好きが、自分の好きと重なったら、きっと優しい幸せが続いていくことでしょうね。

    レビュアー

待ち合わせは〈本の庭〉で 吉祥寺・シェア型書店の小さな謎

表紙
  • 著:藤野ふじの
  • 装画:にーな
  • 発売日:2025年10月20日
  • 価格:781円(本体710円+税10%)

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