ことのは文庫

大学の法学部に通う高槻ナラは、亡き祖父と同じ法律家を目指す現役女子大生。
神宮道を折れた路地にあるかつての祖父の法律事務所は改装され、探偵・春瀬壱弥が住む事務所となっていた。
ぐうたらで生活力のない壱弥を心配するナラは、彼の飄々とした姿に振り回される日々。
しかし、あるひとつの依頼をきっかけに、ナラは探偵助手として壱弥とともに京都の町を奔走することになるが─。

1神宮道
平安神宮から円山公園まで続く南北通りのひとつ。ここから西に折れた小路に、春瀬探偵事務所がある。
2五条坂
五条通の東端、大和大路通から清水道に至るまでの坂道。清水道の手前には大和路呉服店がある。
3平安神宮
明治二十八年、平安京の魅力を後世に伝えるべく、四海平安の祈りを込めて創建された。岡崎のシンボルでもある大鳥居は、神宮道を歩くナラたちを温かく見守っている。
4青蓮院門跡
粟田御所ともいわれる神宮道にある寺院。春瀬探偵事務所のすぐ近くにあって、壱弥はこの寺院の豊かな緑にいつも癒されている。
5南禅寺
京都五山の別格に置かれる日本の禅寺の最高位。幼少期を鹿ヶ谷ですごした春瀬兄弟にとっての思い出の場所でもある。
6清水寺
世界文化遺産のひとつで、西国三十三所観音霊場第十六札所。清水といえば、一番に思い浮かべる観光地である。

  • 人の想いは、紡がれる―。ハートフルな物語はとても質が高く、京都の日常をそのまま切り取ったような描写や、ラストの主人公たちの心情など、とにかく「人の温度」を感じられる作品。

    伊吉書院 盛岡サンサ店 伊藤大樹

  • 京都、お着物、京都弁、イケメン、謎解きが好きな人にオススメ作品! 2人のちょっぴり甘酸っぱい会話もくすぐったいです。

    文信堂書店 長岡店 實山美穂

  • 人の心に真摯に寄り添い、物事の本質とはいったい何なのかと考えることの大切さを教えてくれた作品。

    書を持って町へ出る読書会 石井藍子

  • まるで本当に京都を訪れているようで、いつまでも読んでいたい気分にさせてくれる。心が涼やかになるミステリーだ。

    書を持って町へ出る読書会 戸田ゆかり

  • 切なくも心温まる3つの短編で構成される本作。静かな残り火のような温かさが心地よかった。

    レビュアー 前川義之

  • 残りのページが少なくなっていくのを惜しみながら読んだ。自然体のままでカッコイイ、探偵・壱弥の魅力にハマる人は、私だけではないはずだ。

    書を持って町へ出る読書会/ブックハウスひらがき 福島明子

  • 謎を秘めた主計と壱弥の関係。次に続く余韻が感じられるのが良かったです。優しさの中にみえる切なさを感じることができる物語です。

    レビュアー 青木謙治

古都京都。
この町には美しいものが溢れている。
そう感じたのは、私がまだ祖父に手を引かれながら歩いていた幼少の時分。
当時は、目に映るもののほとんどが宝石のようにきらきらと輝いて見えたことをおぼえている。
それは、清流の水面だったり、川辺で揺れるしだれ柳の葉だったり、そびえる神社の真っ赤な鳥居や雨後に濡れた石畳だったり。移ろう季節を写し取った上品な京菓子だってそのひとつだ。
春には桜が儚げに綻び、夏には祭りの提灯が夜空を染め、秋には鮮やかな紅葉が山を装い、冬には幻想的な雪化粧を望むことができる。そんな彩のある景色は、ずっと昔からひとびとに愛され、それを証明するように、町のいたるところには美しい景色を詠った和歌が残されている。
この町には今でもなお、都として千年もの時を巡った歴史が息づいているのだ。

表紙

神宮道西入ル
謎解き京都のエフェメラル

  • 著:泉坂光輝
  • イラスト:くろのくろ
  • 発売日:2020年4月20日
  • 価格:700円+税

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