ことのは文庫

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社会人二年目、丸印出版の企画営業部(雑誌広告担当)に勤める西富(にしとみ)みのりは、
ノルマに追われる日々を送っていた。

休日の外回り中、雨宿りのために偶然立ち寄った湘南の青果店『フジミ青果』で、
みのりは〈野菜嫌い〉の店主・亮二(りょうじ)と出会う。

その店は、一見ごく普通の青果店だが、
実は野菜も果物も売っていない「青果のコンフィチュール」専門店だった。

試食をさせてもらったみのりは、そのおいしさに感動すると同時に、
このお店をぜひ、自分の担当するグルメ雑誌で紹介したいと強く思う。

そんな話を切り出したみのりに、
それまでの優しそうな表情を一変させた亮二は「帰れ!」と一喝するのだが――。

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  • 西富みのり(にしとみ・みのり)
    24歳。飯田橋にある出版社「丸印出版」勤務。
    所属は企画営業部で、グルメ情報誌【おいしいシルシ】の雑誌広告営業を主に担当している。
    なかなか仕事がうまく行かず、連日ノルマに追われる彼女は、
    亮二と、亮二の作るコンフィチュールに出会ってから、
    少しずつ、自分の仕事に対する向き合い方が変わっていくのだが――。

  • 亮二(りょうじ)
    湘南にある「フジミ青果」店主。年齢はおそらく20代後半。
    健康的な小麦色の肌に清潔感のある黒髪短髪を持つ、色気あるイケメン。
    そして、大の野菜嫌い。
    亮二の祖父母が働いていたころは、普通の青果店だった「フジミ青果」は
    彼が跡を継いで以来、「野菜や果物のコンフィチュール専門店」に変わった。
    みのりの突然の営業に対し、悪魔のような対応を返した彼の本心は――。

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「批判されるのを覚悟で言うと、
 正直なところ、
 物心ついたころから今日までモテなかった時代がないのだ」


……と自分で言い切ってしまうほど、
自他ともに認めるハイスペック男子な、
丸印出版企画営業部の 朝日町卓

そんな彼には
「自分に見返りを求めてこない」
同僚の彼女の存在が、とても心地よくて――。

書き下ろし短編
『朝日町卓(あさひまち・すぐる)の業務日誌』

ごゆっくり、お楽しみください。

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  • 仕事が辛くて辞めたくなるときありますよね。
    それでも仕事を頑張るのはなぜでしょう? 
    みのりが言った答えは私が忘れていた気持ちで、はっとしました。
    コンフィチュールのひとつの瓶を開けるごとに
    優しい気持ちや、仕事への心の変化が伝わり、
    私も頑張ろうという前向きな気持ちになりました。

    (レビュアー)

  • 雨が降らなければ出会わなかったコンフィチュール。
    自分なりにやってきた仕事が思うようにならないもどかしさ。
    そんな中、様々な人を通し気づかされる。
    「自分は人に寄り添えているか?」「自分が作りたいものは何か?」と。
    仕事を通して見えてくる人との繋がりや優しさは、
    おいしい食べ物が運んでくるんですね!

    (図書館関係者)

  • 野菜や果物が大好きな私は今回の作品をウキウキした気持ちで最後まで読むことができました。
    メインが野菜、果物というのも今までにない作品だったので意外性もありました。
    ただ、食事前に読んではいけない作品でした。
    作中に出てくる数々の美味しい料理……罪でしかありません。
    たっぷりと食事をとってから読むことをオススメします。
    主人公が徐々に仕事に対して精神的に強くなってきているのが読みながら感じられ、
    自分の新人時代を思い出したりしました。

    亮二が野菜嫌いだけど、コンフィチュールなら大丈夫というのを知り、
    野菜、果物嫌いの方もコンフィチュールなら食べられるのかなと思ったり……。
    この作品でコンフィチュールという名前を初めて知った私は食べたくて仕方ないです。
    ジャムに似てるけど違う……くぅー食べたい。
    今までにない視点からの作品発売が楽しみです。

    (レビュアー)

表紙

キライが好きになる魔法
湘南しあわせコンフィチュール

  • 著:小春りん
  • イラスト:烏羽雨
  • 発売日:2022年10月20日
  • 価格:792円(本体720円+税10%)

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