「泣ける話」をひとつください。 あきらめの悪い編集者と忘れ去られた推し作家
著:いのうえ えい / イラスト:Tamaki
- 奈良が舞台の、泣ける話を書かせたい編集者とそれを絶対書かない作家による、「おいしいごはん」を挟んだ優しくて泣ける攻防戦。
- 出版社で文芸編集者として働く柴桜丞(しば・おうすけ)には、どうしても原稿を書いてほしい作家が一人いる。
その名は鈴代凪(すずしろ・なぎ)。
彼は、幼い頃の柴に、最初に「物語の愉しさ」を教えてくれた恩人だった。
幼い柴に凪が語ったのは、絵本の中の昔話の「ハッピーエンドアレンジ」。
たとえば『マッチ売りの少女』。
少女が凍えてしまう最後がつらくて読み進められない柴に、凪はふんわりと幸せな要素をちりばめた、でたらめなラストを語って聞かせーー。
……そして大人になった柴は、マイペース(ほぼ消息不明扱い)な執筆活動をつらぬく凪に、彼の作風とは違うものの、小説市場の需要にあった、売れ筋の「泣ける小説」を書いてもらうため、彼の開く「古書店兼小料理屋」へ今日も通い詰める。
しかし、柴が凪に「泣ける小説」を書いてもらいたい理由は、本当は別にあって――。
- 目次
- 前章:おれの推し作家は「泣ける話」が書けない。
柴の栞:はじまりの頁
起:泣き虫赤鬼のトモダチ大作戦
柴の栞:本と猫と、推し作家
承:マッチ売りの少女はひとりきりで目を閉じない。
転:人魚姫の愛は言葉を超えたっていい。
蒼井の栞:無愛想同期のひとりごと
結:王子とツバメの幸福を探して
終章:世話焼き同期は黙って飯を食えない。
凪の栞:ちょっと疲れたら旅日和
- 前章:おれの推し作家は「泣ける話」が書けない。
発売日:2023年12月20日 価格:781円(本体710円+税10%)