身代わりの贄はみなそこで愛される

著:古池ねじ  /  イラスト :篁ふみ

「お前は……私だけの妻だ」水底の閉じられた世界で、神様と猫との穏やかな生活が続く、はずだった。R-18文学賞友近賞受賞作家が贈る、愛を問う物語。
三百年に一度、秋の満月の夜。湖に住む神に「一番美しい娘」を花嫁として捧げなければならない。
そんな伝承がある湖のほとりの村で生まれた、双子の姉妹・宵(よい)と環(たまき)。
姉の宵には、生まれつき顔に青い痣があったため、妹の環が「神の花嫁候補」に選ばれた。誰からも愛される娘に育ち、その運命を哀れまれる環。逆に虐げられて育つ宵。だが、彼女たちが16歳になったとき、環に恋をした男の策略で、実際に神に「花嫁」として捧げられたのは、宵だった。湖に沈められ、死を覚悟した宵。しかし彼女が水底で見たものは、美しい水色の瞳を持つ神様と赤子、愛猫がいる、閉じられた静かな優しい世界だった。そこで穏やかに暮らし始めた宵は、ある日水面の向こうに、助けを求めて自分を呼ぶ環の顔を見る。
そして「村が水没する」ことを、それを仕向けたのが目の前の優しい神様であることを知り――。
目次
  • 1、水音
    2、双子
    3、みなそこ
    4、罪
    5、戯れ
    6、抗う
    7、知る
    8、夫婦

    或る満月の日

発売日:2025年1月20日 価格:781円(本体710円+税10%)

特設サイトはこちら

PV

youtube

ことのは文庫公式アカウント

ページトップへ